細川藩御座船「波奈之丸(なみなしまる)」天井画復元プロジェクト

~熊本城の復興に花を添える~

熊本城 早朝 3

三年前の熊本地震の際、熊本城の壊れ行く様を見て、熊本のために何かしたいという気持ちが心の底から強く沸き上がってきました。そして、これまで学びの画題として長年取り組んできた細川藩御座船「波奈之丸(なみなしまる)」天井画の全171枚完全復元と展示公開の案が思い浮かびました。もしそれが実現できれば、地震で傷ついた熊本城や復興に努力している熊本の人達に力と安らぎを与えられるのではないかと考えました。 

 今から30年程前のことです。私は愛知県立芸術大学で日本画を学び、当時、模写の第一人者であった田中穣先生に日本画の模写技法を教わりました。卒業後、愛知県内で古典絵画の模写や復元の仕事に携わった後、熊本に帰郷。田中先生から「熊本にもきっと素晴らしい古典絵画があるから探してみなさい!」と言われ、熊本県内を注意深く見て回るようになりました。それから間もなく、熊本城天守閣にて初めて波奈之丸舟屋形の天井画が現存していることを知りました。

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波奈之丸は、海御座船としては国内で唯一現存している舟屋形で、その内部に描かれた絵画の数々、特に天井画の筆致の素晴らしさに深く感銘し、この素晴らしさをもっと多くの県民市民に伝えたいと、所有者である(財)永青文庫に撮影と模写の許可をお願いし、いつかは全171枚の天井画復元を果たしたい、という思いを抱くようになりました。

それから四半世紀。私が主宰する日本画工房や県立美術館での実技講習など、天井画で学ぶ模写の技法は、それぞれの技術を磨く上で大変役立ち、また、江戸時代の絵師たちの息遣いを感じ知ることで得られる文化の奥深さに、日本人としての誇りを感じています。

「くまもと文化財プロジェクト」設立

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私の工房も開設から25周年を迎え、工房に集うメンバーもクオリティーの高い作品を仕上げるまでになりました。この節目の年に、この技術を以って何か社会還元できないものかと以前から模索し続けてきました。

これまで私は、神社の大絵馬など多くの絵画文化財の復元や修復に関わってきましたが、ひとりでは出来ないことが、このメンバーなら出来る!と確信が持てるようになりました。それでこれを機に、これまで学びの画題として取り組んできた「波奈之丸天井画」の完全復元の制作と展示公開を実現しようと、NPO法人「くまもと文化財プロジェクト」を立ち上げ、設立メンバー25人でスタート致します。

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実施スケジュール

御座船波奈之丸天井画復元プロジェクトは、4期に分けて行います。

第1期 令和1年11月~令和2年10月  御座の間天井画 №1~45

第2期 令和2年11月~令和3年10月  御座の間天井画 №46~90

第3期 令和3年11月~令和4年10月  次の間天井画 №1~45

第4期 令和4年11月~令和5年10月  次の間天井画 №46~81

 

 


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