Chinese traditional English French German Japanese

青海波の跡

浮島館木々 2s

5年前まで自宅兼アトリエとして暮らしていた屋敷には、大きな楠があり、春先にはたくさんの落ち葉を道に落としていました。門から20メートル程ある土塀の前をいつも竹箒で掃いていましたが、時間もかかるので箒の柄を長く持ち、速いスピードで力ずくで大まかにやるのが自分のやり方でした。

しかし、ある日帰宅すると、土塀の前の道にキラキラした清々しさを感じました。よく見ると、道に誰かが箒で掃いた跡が‥。それはゆっくりと柔らかに掃かれ、それがいくつも美しく扇形となって続いていたのでした。それは道に描かれた青海波の文様のようでした。

すぐにピンときました!それは隣のおばあちゃんでした。その日の朝、隣に住んでいる高齢のおばあちゃんを病院へ送り迎えをしたので、お礼の気持ちもあって、手足の不自由な身体ながら、私の家の前まで掃除してくれたのでした。これこそが芸術!意図もせず生まれた作品!これこそ理想のもののように感じました。

“芸術”は、もともと日本人の持ち合わせていなかった概念なのではないでしょうか。今一度、芸術という言葉を日本人の感覚で、腑に落ちるものとして捉えなおす必要があるのではないかと思っています。

 

復元用天井板”御座の間90枚分”の杉板の寄付!頂きました(T T)

1547201400774候補s

㈱佐藤林業様より、波奈之丸天井画復元プロジェクトに御座の間90枚分の天井板の寄付を頂きました!佐藤社長が、天井画の復元用にと、木目の詰まった立派な吉野杉を探してきてくれました。この吉野杉は奈良県川上村の高原地区で切り出されたそうで、そこは社長の奥様のご先祖様縁の地区ということです。

天井画においては、基底材となる杉板の質が作品の出来を大きく左右します。原木の魂がそのまま板に宿り、その力に作品が助けられたことが、私の経験でこれまで多々ありました。まだスタートしたばかりで一筆も描いていませんが、そのような板が手に入ったということは、復元の成功が約束されたような気がしました。佐藤社長に大感謝です! 

浮島館アトリエの庭から

IMG 1772アトリエの入口のお地蔵さん。早朝、柄杓で蹲の水を頭からかけてやったら、たまたま紛れ込んでいた一枚の葉っぱが、水と一緒にお地蔵さんの頭から流れ落ちて、合わせた手のところで貼りついて止まった。そこにちょうど朝日が射してきた。

IMG 1772

昨年、お茶の先生から頂いた鈴虫花が、やっとこの季節になって涼やかに花開いた。鈴虫花は、鈴虫の鳴く頃に咲くことから名付けられたとか。鈴虫草とは別種。